MARUGOTO INFORMATION

小山の エンタメ グルメ
スポーツ 農業
お届け

まるごと情報局 MARUGOTO INFORMATION

グルメ

料理で嘉右衛門町を盛り上げたい あらゆる注文に応えるのがプロ

料理で嘉右衛門町を盛り上げたい あらゆる注文に応えるのがプロ

2025.06.19

料理で嘉右衛門町を盛り上げたい あらゆる注文に応えるのがプロ

「メニューにない料理を頼まれることも多い」と話す島村さん

 県内で唯一、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定された栃木市嘉右衛門町界隈。地区を南北に走る旧例幣使街道沿いには、江戸末期から近代にかけて建てられた見世蔵や土蔵、木造店舗などが並ぶ。この郷愁を誘う通りに今年2月末オープンしたのが「伝建食堂 嘉門」。腕を振るうのは料理ひと筋40余年の島村博さん(63)。由緒ある町の名を取り入れた店名に「プレッシャーは感じますが楽しいですね。支えてくれる地域の人たちのためにも料理を通して嘉右衛門町を盛り上げていきたい」と力を込める。
 島村さんは栃木市本町生まれ。高校の調理科を卒業後、都内のフレンチの名店に就職し、厳しい修業に明け暮れた。「一緒に入った10数人の仲間が、1年後に残るのは1人か2人という世界。1日18時間働いたこともあります」。ここで10年以上にわたり修業を積んだが、体調を崩し帰郷。地元では洋食・和食の店や居酒屋、ゴルフ場のレストランなどで働き腕を磨いた。
 「これまで料理以外の仕事は、したことがありません。おかげで、あらゆるジャンルの料理をこなせるようになりました」と話す島村さん。この経験が、嘉門での仕事に生きた。
 客層が当初の予想とは異なり、経済的に余裕のある年配の人が多かったことから「おまかせや自分の得意な単品料理をメニューに加え特徴を出しました」。ディナー(17時半~21時、火曜日定休)では素材にこだわった牛もつ鍋やおまかせパスタなど、ランチ(11時~14時、土曜日のみ)では洋食、中華のセットメニュー3種を提供する。
 ディナータイムでは、料理の引き出しが多い島村シェフの腕を見込んだ常連さんから、メニューにない料理を頼まれることも多い。「材料があれば基本、対応します。あらゆる注文に応えてこそプロの料理人。これまで料理に対して〝これでいい〟と思ったことはありません。常にもっと良くなるんじゃないかと意識して取り組んでいます」と料理への熱い思いを語る。
 なお嘉門では、来店客にもっと楽しんでもらおうとカラオケを始めた。チケット制で5曲1000円。ちなみに島村さんのお気に入りは70年代のフォーク。十八番は松山千春だそうだ。