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コラム

2025.09.11

「世界で一番美しい数式、二番目に美しい数式」

~レオンハルト・オイラーより~その1 

 スイス、バーゼル生まれのレオンハルト・オイラー(1707~1783)は、生涯で人類史上最多と言われる886編の論文を書いた天才中の天才と呼ばれる数学者だ。
 オイラーは、1748年、世界で一番美しい数式と言われる「オイラーの公式」を発表し、1752年、二番目に美しい等式と呼ばれる「オイラーの多面体定理」を著した。「オイラーの多面体定理」は、高校1年生が数Aで学ぶ内容なので先に説明したい。多面体定理は、全ての凸多面体において成り立つ「v-e+f=2」という単純明快な等式だ。(vは頂点vertex、eは辺edge、fは面faceの各数)特に、入試で時々出題される正多面体については、正十二面体と正二十面体が複雑で、苦手にする受験生も多いので、2017年聖マリアンナ医科大の歴史的良問を例に取って、正多面体の本質に迫りたい。「各面が正n角形の正多面体において、一つの頂点に集まる面の数をmとする。このとき不等式(n-2)(m-2)<aを満たす。aとm,nを求めよ。」丁寧な不等式のヒント付きだが、たとえ医大受験生といえど、青ざめた者も多いであろう。
 「解答例」 正n角形とあるので、nは3以上の自然数、mは1点に集まる面の数なので、3以上の自然数(2面では、交線しか出来ず頂点を作れない)・・・①正n角形の一つの内角の大きさは180°×(n-2)÷nよりm個の面が集まっているので、180°×(n-2)÷n×m<360°(頂点が360°以上になると凸多面体の頂点になり得ない) この不等式を整理すると(n-2)(m-2)<4が得られ、これより(n-2、m-2)の組は、①より(1,1)、(1,2)、(1,3)、(2,1)、(3,1)のみで、求める(n、m)の組は(3,3)、(3,4)、(3,5)、(4,3)、(5,3)でa=4である。
   入試問題はここまでだが、上の結果より、正多面体を作る正多角形は正三角形、正方形、正五角形の3種のみである事が示された。更に、最後の答えn=5,m=3の時を考える。各面が正五角形で、一つの頂点に集まる面の数が3の時 、v=f×5÷3,e=f×5÷2なので、(例えば辺の数eは、正五角形なのでf×5個有るが、各辺重複しているのでf×5÷2となる)これらをv-e+f=2に代入すると f=12が得られ、これが正12面体となる。以下同様に正多面体は、正四面体、立方体、正八面体、正十二面体、正二十面体の5種しか存在しないことが示される。(以下その2に続く)