~レオンハルト・オイラーより~その2
前回は、世界で二番目に美しい数式「オイラーの多面体定理」を紹介し、聖マリアンナ医科大の入試問題を発展させて、オイラーの多面体定理を用いて正多面体が5種のみである事を示した。御興味の有る受験生は、他の場合、例えばn=3,m=5の時(正三角形が一つの頂点に5面集まっているいる時)はf=20になることを自分で証明してみると良い。こういう良質な数学のお遊びが、数学の真の実力を作るのかも知れないのだ。おっと、ここで、多くの教え子にすこぶる好評だったので、多面体定理(v-e+f=2)の秘密の記憶法を披露する。
「オイラはビーフ2枚だよ!」
いよいよ世界で一番美しい数式に入る。オイラーが1748年に発表した、eのiz乗=cosz+isinzでオイラーの公式と呼ばれている。(eはネイピア数、自然対数の底、iは虚数単位、zは任意の複素数)因みにネイピア数eは、オイラー(Euler)のeに由来しているようだ。
更に、オイラーの公式でz=πとすると、eのiπ乗+1=0となり、「オイラーの公式」と区別して「オイラーの等式」と呼ばれる時がある。
アメリカの物理学者リチャード・P・ファインマン(1918~1988)が「オイラーの公式」を、「我等の至宝(This is our jewel)とか、「全ての数学の中で最も素晴らしい公式」と絶賛して以来「世界で一番美しい数式」と呼ばれるようになった。
何故世界で一番美しい数式なのだ、と思う方も当然おられるであろう。私の初めての出会いは、eのiπ乗=-1の形での邂逅であった。私の最初の印象は、強い驚きであったと記憶している。(1+n)のn分の1乗でnを限りなく0に近づけた値ネイピア数e(2.718・・・)は宇宙が用意していた数を人間が発見したのだろう。虚数単位iは、人間が創造した想像上の数(imaginary nunber, 2乗したら-1になる数)で、人間の完全オリジナル数だが、宇宙はその創造を当然予想していたはずだ。πは、円周が直径の3・14・・・倍になっているという円周率で、現実の自然の中に存在する数であり、人間が発見すべくして発見した数である。それらeとiとπの3つの数が、-1になるという驚くべき等式なのだ。人類の数学史上で永遠(とわ)に微光を放ち続けるに違いないこの精妙な等式に、美を感じる人が居ても不思議ではない。(以下その3に続く)