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コラム

   

   

2023.02.17

教育・文化芸術・科学コーナー第9回
新年雑感

(1)過去を振り返って

 宇都宮大工学部卒後、名古屋大文学部に再入学し、美学美術史生の時から、稀覯本と版画を少しずつ集め始め、卒業してすぐ真岡に戻り、渡辺私塾を開塾してもう50年になる。脇目も振らず、休日返上で必死に働き、30年前に渡辺私塾文庫を作り、25年前からは詩画集、美術評論、随筆等の拙本を出版し、既に13冊刊行した。本年2月には、真岡新聞社より著作集第10巻が刊行予定である。13年前に久保貞次郎研究所を創設し、8年前に、美学生時から夢見ていた美術館を開館出来た。芸術の大衆化の名の元、スーパーや八百屋さんのように作品を並べ立てるのは、芸術作品を身近で当たり前の対象にすると言う思想故である。更に、学生時代から決めていた事は、美術館開館の暁には、入場無料で来館者の方々に版画などを贈呈させて頂く事であった。8年目を迎えた今でも、版画と著作集の2点を来館者様に受け取って頂いている。また、芳賀教育美術展では、久保研究所賞を創設して頂き、更に、720余名の入賞者に久保研究所から副賞を用意させて頂いて、今年で13回目となる。久保氏は天で、「良く頑張ってるね」と言って下さるだろうか。卒業生も2万人近くになり、数十年ぶりで、不意に訪問してくれる教え子も後を絶たない。誰かがウィキペディアに私の事を掲載してくれたようで、恥ずかしさで身を潜め恐縮している。

(2)現在、未来について

 休む間もなく塾生達と真っ直ぐ向き合っていたら、いつの間にか古希を迎えていた。精神はいまだ20歳代だが、肉体はさすがに年相応になったので、私塾は跡継ぎに任せ、現在は、美術館、研究所、文庫の管理及び研究、執筆活動、スポーツに集中している。何のことは無い。多忙なのは同じである。70歳を優に超えて将来の夢など無いと思われるだろうが、まだまだ有る。大きな美術館への移転。週5日の美術館開館。分厚い美術館展示作品集出版。訳の分からぬ私の絵の画集出版。文芸新聞の発行。文芸賞復活。文芸誌再発行。90歳までこの地上に居ること。以前のような無償の講演。抽象油彩画大作の制作などだ。このうち一つでも成就出来れば上出来かも知れない。人類の一人の夢としては、数千年数万年後、全ての人が芸術家で、戦争も疾病も飢餓も差別も暴力も貧困も貨幣も無い社会が実現する事だ。想像の遙か彼方に有るそのような社会では、一人一人が芸術家、文学者、哲学者、宗教家、科学者、道徳家であり、赤銅色の輝く肉体を持ち、天まで届く歌を歌い、博識の父母からありとあらゆる事を学び、それ故学校も消滅するだろう。希薄化した国家の数少ない役割は、国民に無尽蔵に衣食住福祉を提供し、それ故、貨幣もなく、貧困も無く、平均寿命が2百歳を超え、笑顔あふれる多くの国民が、芸術活動、ボランティア活動、祭事に従事する社会だ。これが人類の本当の歴史、本史だと強く夢想する。それまでの人類史は前史に過ぎないのだ。此処でまたフランスの詩人アルチュール・ランボーの「地獄の季節・別れ」の一節を引用しなければならない。(渡辺かなり改訳)まだまだ前夜だ 我等は流れ入る全ての精気と情愛をこの身に受け入れよう 暁の時、我等は燃え上がる忍耐の鎧を着て、背中から血を流し光り輝く街中を走り抜けよう 次の時代、本史が見えるまで

●渡辺私塾会長 著述家 渡辺美術館館長 渡辺淑寛

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