4年ぶりの個展を日光で開くことになりました。今回は、最新作の《カフェから見た蔵の街》や《日光金谷ホテル》など、宇都宮や日光・栃木など県内の風景を主題にした作品を中心にフランス、パリ風景など、今まで個展で発表してきたテーマを取り上げます。
また新たな試みとして、私が1970年代に住んでいた横浜の風景を、当時の鉛筆デッサンを基に、50年を経て多色木版画にしたシリーズ「ヨコハマ 70’s」から数点展示いたします。自らの青春時代のスケッチを晩年に版画にするという試みは、私が尊敬して止まない昭和の大版画家、川上澄生が70歳の時に青春時代の渡米経験をもとに制作した《アラスカ物語》が有名です。私もこの版画集に倣い、学生運動と高度成長真っ盛り、日本が若くて熱かった70年代のミナト横浜の「時代の息吹」を再現したいと考えました。
また今回の展示では、版画作品を生かすために、様々な色彩のマットを使って額装いたしました。今までどうしても白やクリーム一辺倒だったマットの色彩の役割を見直し、作品から新たな魅力を引き出せたらと考えております。世界遺産で一大観光地である日光、豊かな自然に囲まれた避暑地日光で、8月に個展が開催できる喜びは言葉になりません。この機会に多くの方々にお越しいただき、作品を鑑賞していただければ幸いです。