接客業に挑戦したい吃音の若者に勇気を。吃音を知らない人にはスタッフとの交流を通して理解を
「注文に時間がかかるカフェ」。さて、どんなカフェだろう?と興味がわいた。宇都宮市中戸祭の書肆ひるねを会場に先月27日、1日限りで開催された「注文に時間がかかるカフェ」。増幅する一方の好奇心をバネに足を運んだところ、その意味がわかった。
「ここここ、こんにちは」と言葉のはじめの音を繰り返してしまう「連発(れんぱつ)」、「こーーんにちは」と音が伸びてしまう「伸発(しんぱつ)」、うまく言葉が出ずに間が空いてしまう「難発(なんぱつ)」など、言葉を滑らかに話せない発達障害を吃音という。
「注文に時間がかかるカフェ」は東京在住の奥村安莉沙さんが発起人となり、「接客業に挑戦したい吃音の若者に勇気を」「吃音を知らない人にはスタッフとの交流を通して理解を」をコンセプトに当日までに全国7か所で開催してきた。
この日は、開店前から約50人が並び、コロナ禍ということもあり、1組ずつ入店。店内では吃音のあるスタッフが注文を聞き、丁寧な接客を実践した。来店者は89名にのぼり、コーヒーや紅茶などを飲みながら、思い思いの言葉を交わしたリ、本を読んだり。
後日、奥村さんは「予想をはるかに超える沢山の地元の方にお越しいただき、反響の大きさに大変驚いております。お客様には吃音のあるスタッフとの交流を通して、吃音について理解を深めていただきました」との思いを、本紙に寄せてくれた。あわせて、「今回は栃木県初開催でしたが、地元の方の関心の大きさを感じられました。今後も是非栃木県で開催したいと思っております」とのメッセージも付け加えた。
注文に時間がかかることで、店員さんと向き合う時間も増える。さらには、こころのやりとりも可能だ。より早く、早い方が優れているという価値観。ただ、効率を優先することで、見落としてしまいがちなことも少なくない。しかも、それがとても大切な事であることも多い。そのひとつが意思の伝達に時間のかかる吃音なのだと気づかされた。