長引くコロナ禍に加え、資源価格の高騰や諸物価の上昇など厳しい経済環境のなか昨年秋、第11代小山商工会議所会頭に就任した野口起生さん(73歳/株式会社のぐち 代表取締役)。この難局を乗り切るため掲げたのが、商工会議所設立の原点である「積極的な政策提言」 「中小企業の活力強化・成長支援」「地域経済活性化のためのまちづくり、産業振興」の3つのミッションを基本にした会議所活動の展開。さらにコロナ後を見据え「新たな環境に対応した、中小企業の経営課題へのきめ細かな支援など事業者に寄り添う体制の構築を図っていきたい」と語る野口会頭に今後の方針などを聞いた。
ー 3つのミッションを基本に据えた会議所活動の具体的な活動内容は。
政策提言では、会員訪問や各種会議を通じて会員企業との積極的なコミュニケーションを図り、日本商工会議所・県連合会と連携のもと、国・県・市へ政策提言・要望活動を行います。また、地元選出国会議員や県議会議員、市議会議員とも懇談会を積極的に開催しコミュニケーションを図っていきます。 中小企業の活力強化・成長支援については、中小企業相談所を通じて中小企業の成長への挑戦を全力で後押し、中小企業の活力強化を支援します。さらに創業支援(スタートアップ企業)・経営革新への挑戦に対応した後押し支援や、中小企業の経済のグローバル化に対応するための国際化支援(販路拡大・ECサイト活用)も強化します。地域経済活動の活性化のためのまちづくり・産業振興では、日本商工会議所が進める「ローカルファースト精神」による民間主導のまちづくりを調査研究し推進するとともに、官民連携によるまちづくりに積極的に取り組みます。地域資源を活用した産業振興、地域ブランド力の育成強化を目指し、販路開拓支援を図ります。また、青年部・女性経営者会等による地域イベントへの積極的な参加を通し地域貢献にも努めたいと考えています。
ー コロナ後の課題について考えをお聞かせください。
ポストコロナは、今まで私たちが体験したことのない経済環境を迎えると考えております。企業経営に関しても、今までの経験や体験が通じないほどの環境変化の時代の到来であり、この課題を克服するには、全国515商工会議所・12.3万会員が成すネットワーク力を最大限に活かし、中小企業や地域、商工会議所が直面する課題を情報共有し、先進事例に学び「現場主義」「双方向主義」のもと、きめ細かな対応と企業支援で難局を乗り越えたいと考えています。
ー コロナ禍で多くの企業が倒産・廃業などに追い込まれる中、小山商工会議所は新規会員が増えています。その要因はどこにあるのでしょうか。
3年前のコロナ感染症による企業経営は大変厳しい環境でありました。当会議所は感染症当初から国・県・市等の様々な企業支援策に関し、会員・非会員問わず地域の中小企業支援に伴走型・寄り添う支援を行ってまいりました。また、飲食業支援ではクラウドファンディング事業を活用し参加飲食店へ、いち早く現金を届けるなどスピード感を持って支援を行いました。結果、中小企業者の皆様からお世話になったので会員になりますなど、当会議所の活動が地域の皆様の信頼を得たことで会員が増えたと思っています。
ー 小山市と商工会議所は「コンパクトシティ」に取り組んでいますが、事業の進み具合はどうでしょうか。また、行政に望むことは。
小山市との連携により「まちなか居住」の推進、コミュニティバス「おーバス」の活用推進による小山駅のターミナル化による駅周辺の賑わい創出を目指しています。また、文化・芸術の殿堂である「文化センター」は、今後どうするのかが課題であると考えております。