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コラム

2025.07.17

アジサイ博士・藤井敏男さんを訪ねて「ユニークな人生から生まれたアジサイの傑作」

本誌一面のコラムを担当されている藤井敏男さん(77歳)は、国内のアジサイ研究史上初の農学博士です。このたび、小山市向野の運動公園近くの研究農場をお訪ねし、満開のアジサイの中で生涯を植物の育種(品種改良)で送ってこられた歩みや今後の抱負などを伺いました。

きっかけは中学3年の時のレース鳩です。両親を交配し、雛を訓練し、数百キロのレースに参加して成績を競うおもしろさにすっかりのめりこみ、宇大卒業まで続けました。
 県庁に合格し、育種を希望したところ農業試験場のビール麦育種部に配属され、16年間ビール麦の育種に携わりました。世界初のウイルス抵抗性品種を作り日本育種学会賞を受賞しました。その後、事情があって退職、市内犬塚の道端で花を商うことになりました。42歳でした。45歳の時アジサイ研究家の山本武臣先生と出会い、アジサイは日本原産であるが研究されず、今や西洋アジサイと呼ばれるていたらくであると知り、自分が研究することにしました。
 テーマは2つです。1つは栃木県で作れる高成分アマチャアジサイの育種、もう1つは従来なかった酸性土壌でも赤く咲く観賞用品種の開発です。花祭りの甘茶はアマチャアジサイの葉から作られノンカロリーで甘く、歯周病菌に対する強い抗菌成分を持っていますが、これまでの品種は長野や岩手の夏涼しいところでしか作れませんでした。歯周病は糖尿病や花粉症など万病の元であり、成分の分析法も確立されていて、ビール麦で培った分析の経験が生きました。 
 55歳で東京農工大の博士課程に社会人入学、3年間で有望株を育成し、論文も通って58歳で博士号を授与されました。卒業後、暑さに強い品種を選ぶため離れた佐野市秋山町に甘茶畑を作り、4年前に世界初の品種「ふじい甘1号」が登録認定され、30年間の独占使用権が発効しました。
 観賞用ではどんな土でも純白から紅色に変る「白寿紅」が2019年のコンテストで最高賞を受賞しました。

 このところの温暖化で私のアマチャ品種が各地で検討され始めました。全国の中山間地の畑作を再興し、世界中の病人を甘茶で救う夢に向かって貧しい中進んでいます。母の教え通り正直にまっすぐに生きてきたためか、起伏に富んだ人生です。追々コラムでお話しします。甘茶はここで販売してますので病気の皆さん、ぜひ飲んでみてください。