若駒よ真っすぐ走れ春隣
4月からのクラシックシーズンを前に、明け3歳の若駒たちによる前哨戦が熱を帯びてきた。今月だけでも、トライアルレースのきさらぎ賞・クイーンカップ・共同通信杯が東西の競馬場で行われ、上位入賞馬が桜花賞・皐月賞への優先出走権を手にした。果たして今年はどんな〝名馬の卵〟が誕生するのか楽しみである。
さて前号で予告した山頭馬が考える「無事是名馬」について、3頭の馬を紹介したい。
まずは1988年秋にデビューし、15歳まで現役を続けたミスタートージン(1986~2013)。中央競馬の最高齢出走記録の持ち主で、通算成績は99戦11勝。一戦一戦に全力を尽くす姿は「中高年の星」と称され人気を集めた。サラブレッドは経済動物ともいわれる。賞金を稼げない馬は淘汰されるのが定めだが、12年間走り続けたこの馬は強靭な体もさることながら、馬主にも恵まれた。愛馬について馬主はこう語った。「馬が走りたがっている限り、私は走らせる」。馬とともに後世に伝えたいホースマンである。
次は「負け組の星」として一世を風靡したハルウララ(1996~2005)。高知競馬場で98年にデビューし、成績は113戦全敗。負けても負けても走り続ける姿がマスコミに取り上げられ話題となり、人気は全国に広まった。2004年3月には武豊騎手がハルウララに騎乗し高知競馬に参戦。その日は1万3千人が入場、馬券売り上げは8億6千万を超え、いずれも過去最高を記録した。武騎手は当初ハルウララ人気の過熱ぶりに「競馬の本質から離れた騒ぎ」と批判的だったが、レース後の言葉は「高知競馬場にこれだけのファンを呼び、全国で狂騒曲をかき鳴らした彼女は、間違いなく名馬と呼んでいい」。
最後は東へ西へと旅を続け、9年半の競走馬生活を全うしたアサクサゲンキ(2015~)。平地と障害レースの二刀流で、戦績は51戦し平地2勝、障害6勝。17年に小倉2歳ステークス、21・22年には小倉サマージャンプの重賞を制覇している。昨年11月に引退、現在は大好きだった小倉競馬場の誘導馬として第二の馬生を送っている。
前号の結びで前立腺がん検査入院のことを書いたが、このほど結果が出た。判定は「シロ」。 まずは一安心である。しかし、前立腺の肥大部分を切除する手術を受けることになった。予定日は4月初め。春うらら、心身ともにスッキリした状態で花と競馬を楽しみたいものだ。