今から40年前の1983年、小山市に住む音楽家8名により小山音楽家協会が創立されました。現在会員数は26名。毎年行われてきた定期演奏会は今回で39回目を迎えます。「晩秋の調べ」と題し、深ま
る秋に聴き入りたくなるような作品をお送りします。
今回演奏されるブラームス作曲「6つの小品」、そして「クラリネット三重奏曲」はどちらもブラームスが亡くなる数年前に作曲されました。
「6つの小品」はピアノのための作品。長く親交のあったクララ・シューマンに献呈されています。哀愁溢れ、心に深く響く名曲です。「クラリネット三重奏曲」はクラリネット、チェロ、ピアノという編成です。50歳半ばを過ぎたブラームスは創作力の衰えを感じ、作曲活動の引退を決意。
しかしクラリネットの名手ミュールフェルトと出会い、彼の演奏に感銘を受けクラリネット三重奏曲の作曲に着手することとなります。作曲への情熱が再燃したブラームスが鮮やかに描き出した、晩年の傑作です。
フルート、ホルン、ピアノという珍しい編成の曲も演奏されます。フランスの女性作曲家メル・ボニスが作曲した「森の情景」です。ボニスはドビュッシーと同時期に活動していました。当時、女性の作曲家というのは大変珍しく、批判的な評価をされてしまうこともありました。「森の情景」は静かな森の中にいるような感覚を思わせる神秘的な作品です。
今回のコンサートの中で最も親しみのある作品が、ベートーヴェン作曲の「月光ソナタ」です。幻想的な第1楽章、可憐な第2楽章、そして激情的な第3楽章。ベートーヴェンの作品の中でも特に人気の
高い一曲です。
その他、チェコの作曲家マルティヌーによる「フルートソナタ第1番」、ドイツの作曲家ノイリンクによる「低音ホルンとピアノのためのバガテル」など、楽器の特徴を活かした魅力溢れる作品も演奏されます。
芸術の秋、様々な楽器によるクラシックの生演奏をぜひお楽しみください。