栃木高等女学校に在学中、信子は少女向けの雑誌に短編などの作品を投稿し、何度も入選を繰り返しました。その結果、四年生の時には「少女世界」から栴檀(せんだん)賞のメダルを得ています。
このメダルは何度も入選した優秀な投稿少女のみに与えられるもので、信子は自信を深め、作家への夢をいっそう膨らませました。
しかし、両親は信子が作家をめざすことには反対で、高等女学校を卒業すると、家の手伝いや稽古事を強いられました。失意の信子を支えてくれたのは兄たちで、両親への説得により、ようやく作家になることが認められました。 こうして信子は念願の上京を果たします。大正四年(一九一五)、十九歳の夏のことでした。(おわり)
