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コラム

渡辺私塾会長  著述家  渡辺美術館館長   渡辺淑寛

渡辺私塾会長 著述家 渡辺美術館館長 渡辺淑寛

2022.11.18

教育・文化芸術・科学コーナー第6回
「特殊相対論と量子論」     

⑴「特殊相対論」

 40年近く前、真岡新聞掲載「高校への5科教室」で、中3生対象に、「特殊相対論」を数式を交えて掲載した事があった。大学の相対論研究者からお電話が有り、「中学生対象の相対論、見たことがない、素晴らしい」とお褒めのお言葉を頂いたのを覚えている。今回は、文章のみで、「光速不変の原理」と「時間の遅れ」の2大原理に絞って書いてみたい。

 車を並走させると、お互い止まっているようで、「やあ、今日は」と挨拶出来る。ところが、秒速30万㎞の光は、同じ速度で並走して、「やあ、今日は」と言っても、光君、無視を決め込み何も言わず、秒速30万㎞であっという間に前に進んでしまう。人間には理解困難だが、1887年、二人の米国人マイケルソン、モーリーの実験以来、同じ実験結果で動かしがたい事実である。これが光速は観測者に無関係に不変であるという「光速不変の原理」である。(実際には光速での並走は不可能)

 今、電車に乗っていない人と、電車に乗っている人が、リンゴを下に落としてみる。1mを毎秒1mで落とすと、二人とも1秒で床に落ちるように思える。ところが、電車の外の人にとって、電車内のリンゴは進んでる方向に斜めに落ちているように見えるので、距離が2mになったとすると、リンゴが床に落ちるのに2秒かかる。この例では、同じ現象が終了するのに、運動している方は、2倍時間がかかり、外の人に対して時間が遅れる。この「時間の遅れ」も多くの実験で証明された事実である。浦島太郎が地上に戻った時、とびきり若かったのは、宇宙人に招待され光速に近いロケットに乗って旅をしたからだ、と言う識者もいて、「浦島効果」とよばれ、世界でも似た話が幾つか有る。

⑵量子論

 光子、電子、陽子、中性子、コォークなどの素粒子は、粒子と波の両方の性質を持ち、まとめて量子と呼ばれている。「粒子と波の両方性質」と言われても、人間にはやはり理解困難である。ボールが飛んでくるのが粒子だが、地震の時、地面が飛んで来る訳ではない。波として、地面が振動してエネルギーを伝えているに過ぎない。量子は他に不思議な現象を引き起こす。20世紀で一番美しい実験と言われた「二重スリット実験」で、2つの細長い切り込み(スリット)の有る衝立と、その奥にスクリーンを用意する。その衝立に電子1個を照射すると、波の性質である干渉(波の重なり合いと消し合い)が起こる。私は波ですよ、と言っているようである。それで、電子はどちらのスリットを通ったのか調べようと観察すると、何と、干渉縞が消えて、粒子の性質しか示さなくなる。人間が観察すると(知ると)、量子の現象に影響を与えるのである。更に、ここでは触れないが、2つの量子はもっと不思議な現象を引き起こす。(量子エンタングルメント)。我々人間は、量子は、雲のように、もやっとした状態で確率的に存在していて、時には波、時には粒子として振る舞うのだ、と理解するしかない。

⑶結論

 私個人は、「光速不変の原理」や「波と粒子の二重性」について、矛盾を感じる事なく、合点がいっている。円柱を真上から見たら円であり、真横から見たら長方形である。そしてどちらも正しい。つまり、人類は、例えとしての円柱を完全な姿で理解する能力が未だ欠如しているのだ。これを人類の「科学的未開性」と呼ぶと、「政治的未開性」は、有史以来の戦争の存在。「経済的未開性」は世界中での貧困の存在。「精神的未開性」は、我々の精神の片隅に宿っている暴力性の存在。「医療的未開性」は、新コロナも含めて世界中に蔓延する疾病の存在。未開性を挙げたら切りが無いが、裏を返せば、人類にはこれから進化出来る領域が山ほど有るという事だ。人類の今までの歴史は前史であり、真の歴史(本史)はこれから始まるのだ。人類の輝く未来に、美しき本史に祝福あれ。

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