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モームの「冬の船旅」を朗読する青木さん(左)。菊地さん(右)は1959年に大手書店の招きで来日したモームと間近で接した経験を持つ

モームの「冬の船旅」を朗読する青木さん(左)。菊地さん(右)は1959年に大手書店の招きで来日したモームと間近で接した経験を持つ

2022.11.18

ヘミングウェイとモームの短編
自ら翻訳しクリスマスイブに朗読会

 語学研修コンサルタントなどを手がける「土田均プロダクション」を主宰し、本紙では「サマセット・モーム物語」を連載している菊地喜平さん(87)が、英米の文豪の短編を自ら翻訳し、プロの朗読家とともに12月24日(土) 小山市東城南のカフェ「録ミュージアム」で朗読会を開く。 題して「2人DE朗読 Christmas Reading」。 若い頃から英米文学を原書で読み「モームは常にわが人生の師であり、伴侶でもある」と語る菊地さん。人前で朗読を披露するのは今回で2度目だが「昔から話すことは大好き。自分が感銘を受けた作品をぜひ皆さんに聞かせたい」と、本番に向け熱のこもった練習を続けている。

菊地さんは1935年、鹿沼市生まれ。父の仕事の関係で6歳で東京に移ったが、戦争が激しくなり父が生まれた旧国分寺町に疎開。中学卒業後は東京で酒屋勤めや牛乳配達をしながら学費を貯め、19歳の時に都内の夜間高校に入学した。中学の頃から大好きだった英語は上京後も勉強を続け、アルバイトでデパートの販売員をしていた時は外国人客に流暢な英語で対応、社内で評判になったという。高校を卒業すると、英語を活かせる仕事に就くため津田スクールオブビジネスに入学、貿易英会話を学んだ。25歳の時に東京の貿易会社に就職。入社3か月後には英語力を買われ米・アトランタに派遣され、ニューヨーク支店でも働いた。35歳で繊維関係の会社を興し独立。今は手縫い刺繍のエンブレムを輸入・販売する会社の社長を務めているが経営は息子に委ねており10年前に立ち上げた土田均プロダクションの運営に力を注いでいる。ちなみに「土田均」は菊地さんのペンネームである。

 今回の朗読会も土田プロが主催。会では菊地さんがアーネスト・ヘミングウェイの「インディアン居住地」を朗読。続いて宇都宮在住の朗読家・青木ひろこさんがサマセット・モームの「冬の船旅」を披露する。モームの作品を舞台化した「手紙」に主演したこともある青木さんは「翻訳ものは久しぶりなので楽しみです。舞台はドイツの貨客船内でのクリスマスイブのランチ。洒落た大人の物語なので、来場者にはクリスマス気分に浸ってもらいたい」と話す。

来年1月に米寿を迎える菊地さん。幼年期を戦時下で過ごし、少年期は東京で働きながら英語習得に努めた〝刻苦勉励〟の日々。戦後は〝実戦〟で覚えた英語を武器に事業を起こすなど起伏にとんだ人生だが、年を重ねるごとに知的好奇心は広がるばかり。いま情熱を注いでいるのが言語表現の探求「いつか朗読を中心にした"モーム劇場"をつくりたい。そして外国人を相手に英語で朗読をするのが夢です」

朗読会は午前11時半開演(開場は11時) 入場料はクリスマス・ディナー付き8,000円 問い合わせは、土田均プロダクション事務局TEL.090-5212-0249(菊地さん)まで


< 青木さんのプロフィール > 小劇団での演劇活動を経て「下北沢言語表現研究西澤ゼミ語り部の会」に参加。朗読を故・西澤實氏、本多晋氏、伊世憲造氏に師事。朗読家として幅広いフィールドで様々な演奏家やダンサー、美術作品やアーティスト、能楽など古典芸能とのコラボレーションを行っている。ル・レシ朗読サロン主宰。NPО日本朗読文化協会会員。


会場の録ミュージアム(小山市東城南2-23-5)
会場の録ミュージアム(小山市東城南2-23-5)