競馬にもいくつかの格言がある。「２頭出しは人気薄を狙え」「牝馬に昇級の壁なし」「長距離はヤネ（騎手）で買え」「固め打ちの騎手メインは来ない」等々。予想する際は①馬の持ちタイム②上り３ハロンの切れ③展開-の３点を軸に熟考する小生、これまで格言など気にも留めていなかったが、命を脅かす猛暑のせいで予想スタンスを変えた。「格言重視」に宗旨替えしたのである。
少々大げさだが要は、あまりの暑さに考えるのが億劫になったのだ。本格化したローカル競馬から早速〝格言予想〟を取り入れた。夏競馬の格言として広く知られているのが「夏は牝馬」「格より調子」である。7月15日の函館2歳ステークス（ＧⅢ、芝1200m）、優勝は牡馬に譲ったものの2・3着は牝馬が占め,た。翌週の中京記念（ＧⅢ、芝1600m）でも3着内に2頭の牝馬が入った。極めつけは30日に新潟で行われたアイリスサマーダッシュ（ＧⅢ、芝1000m）。1着オールアットワンス、2着にディヴィーブと牝馬が上位を独占。3連単は80万4460円の大万馬券となった。
読者諸賢は小生が〝思考放棄馬券〟で大儲けしたとお思いだろうが、無念なるかな、すべて外してしまった。そもそも「夏は牝馬」の理由として挙げられるのが、強豪馬が休養に入り能力の近い馬同士,の争いとなる、平坦コースのためパワーに劣る牝馬でも牡馬と互角に戦える―などだ。必然、この好条件に合わせ牝馬の出走も多くなる。レースによっては半数近くが牝馬ということも。牝馬を軸に4頭を選び、3連複・3連単で勝負したが格言通りになるほど競馬は甘くかった。
中でも超高配当となったアイリスＳＤには愕然とした。舞台となった新潟競馬場の直線1000mコースには、ここだけに通用する格言「外枠（7・8枠）を買えば確実」があった。そのため、有力牝馬が入った8枠を中心に馬券を買ったのだが、来たのは3-10-2と内枠が2頭も。馬券道の袋小路に入った気分である。
さて、間もなく78回目の終戦記念日を迎える。そこで戦中に起きた人馬の切ないエピソードを紹介したい。
1945年3月22日、太平洋戦争の激戦地・硫黄島で、日本人唯一の馬術競技の五輪金メダリスト・西竹一が戦死した。その1週間後、西と共にオリンピックの大障害飛越に挑んだウラヌス号が、西の後を追うように亡くなったという。
最後に徴用され戦場に散った馬を悼み、虎が雨いちにち濡れて軍馬の碑 峰尾北兎